『くらし便り』読んで暮らしが開かれる

Column Vol.09さりげない品格、「真鍮」の魅力~使うほどに愛着の湧く注目の素材~

※記事中の写真はイメージです

ヨーロッパでは、古き良きものを長く大切に使い続ける文化が根付いています。例えば新しい住居に引っ越すとき、ほとんどの家具を前の住居から持っていくそうです。親から子へ、子から孫へ、何世代にも渡って受け継がれる家具も珍しくありません。そのため、使うほどに味が出る革製品や木材を素材とする家具が好まれますが、中でも高級感があり、インテリアのアクセントにもなる「真鍮」は高い人気を誇っています。

実は歴史が深い
「真鍮」とはどんな素材?

真鍮とは、別名、黄銅(こうどう、おうどう)と呼ばれ、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金のことを指します。硬度がありながら加工しやすく、耐久性に優れていることが特徴。私たちにとって最も身近で、最も有名な真鍮は「五円玉」です。西洋では紀元前1000年頃からすでに通貨として使用されており、古くから工芸品や船舶内装、管楽器など、さまざまな製品に使われてきました。今回は、そんな真鍮の魅力と、暮らしに取り入れるアイディアをご紹介します。

真鍮が持つ3つの魅力

01品格のある深い色合い

柔らかな黄金の輝きを持つ真鍮は、インテリアや小物として取り入れても主張しすぎず、上品で優雅な印象を与えてくれます。艶めいた木材の質感にもなじむので、アンティーク家具の取っ手やつまみなどに使われていることも多いです。古くから親しまれてきた素材なので、流行り廃りに左右されないところも愛される魅力かもしれません。

02経年とともに味が出る

人の手や空気に触れることで酸化し、次第に独特のくすみや艶感が出てくるのも真鍮の特徴です。鉄のような露骨なサビとは異なり、味わいのある古調の雰囲気に変わっていくのです。時間の流れとともに変化する表情に愛着が生まれ、真鍮のある暮らしを楽しんでいるという人も少なくありません。

03手入れをすることで輝きを取り戻す

真鍮は、水分や湿度によって大きく変色してしまうことがあります。それは味わい深さの一つではありますが、元の輝きを取り戻したい時には、市販の金属研磨剤や磨き布などで丁寧に磨けば、簡単に復活させることができます。研磨剤は表面を削ることにもなるので、普段のお手入れは布で拭く程度でOKです。

真鍮を暮らしに取り入れる
アイディア

スイッチやドアノブで
さりげないアクセントに

ドアの開け閉めや照明の点灯・消灯など、日々の中で触れる頻度の高い場所は、面積は少ないけれど、実は空間づくりにおいて重要なポイント。スイッチプレートやドアの取っ手を真鍮アイテムにするだけでも、さりげない存在感を発揮し、金属の触感や経年変化を楽しむことができるでしょう。

照明に真鍮を取り入れ
温もりを演出

最近では、キッチンのペンダントライトや壁掛けのブラケットライトなどに真鍮素材を取り入れる人が増えています。真鍮の落ち着いた光沢感が空間全体を引き締め、光に黄色みが加わることで温もりのある空間を演出できます。電気を点けていなくても、オブジェのように存在してくれるところも魅力です。

限られたスペースで
魅せる水まわり

洗面所やお手洗いなど限られたスペースでは、一つひとつのアイテムに目が向きます。特に来客が使うことの多い場所なので、その家らしさを表現するにはピッタリの場所。蛇口やタオル掛け、ミラーの縁などを真鍮で統一すれば、海外のクラシカルな雰囲気に。タイルや木材との組み合わせもおしゃれです。

使い込んだ革のエイジングのように、生活をともにした分だけ愛着が生まれる真鍮。
品格を保ったまま経年で深みを増していくその魅力を、住まいに取り入れてみませんか。
きっと暮らしに新しい時間の流れをもたらしてくれるはずです。