『くらし便り』読んで暮らしが開かれる

Column Vol.042021珈琲白書本当に美味しいコーヒーが飲みたい

新しい生活様式にシフトしたこの一年、おうち時間が長くなり自宅でのカフェタイムは今まで以上に大切にしたいひと時になりました。美味しさはもとより香りでも癒されるコーヒーはカフェタイムの重要なメニュー。ひと昔前なら手軽なコーヒーといえばインスタントや缶コーヒーでしたが、近年はコーヒーのチェーン店の急増やコンビニカフェの普及で、日常的に安価で美味しいコーヒーが楽しめるようになりました。少しのこだわりと手間をかければ、コーヒーは気分をリフレッシュさせる極上のアイテムに。今回は自宅で本格カフェを実現できるよう、コーヒーを知るための5つのヒントをご紹介します。

COFFEE HAUS
高橋周平さん

コーヒーのプロにお話を伺いました!

COFFEE HAUS
オーナー 高橋周平さん

仙台市内にコーヒー専門店3店舗を展開中。そのうちのひとつ「ほの香泉店」はジェイウッド仙台泉店と同敷地内に2020年オープン。
東北に1台しかないドイツ製自家焙煎機でローストした自慢の自家焙煎珈琲の他、イギリス菓子中心のスイーツ、ランチ、コーヒーギフト、コーヒー関連グッズの販売なども行っている。

珈琲をよく知るための5つのヒント

文化との関係性

コーヒーが日本に伝わってきたのは江戸時代とされています。当時は薬のような存在で身体にいいとされていました。日本で最初の喫茶店が東京に登場したのが明治時代。以降、日本人に親しまれてきた喫茶店は今やカフェのチェーン店として全国に軒を連ね、何度となくカフェブームを巻き起こしています。

香りと味が一番感じられるとしてよく飲まれる「ブラックコーヒー」ですが、実は海外の多くの国ではブラックコーヒーはメジャーではありません。特にヨーロッパではコーヒーといえばエスプレッソなので、ブラックで飲むには苦すぎるようです。日本には煎茶の文化もあるので、お茶は苦いまま飲むものという意識が強いのかもしれません。海外で「ブラックコーヒー」を注文すると砂糖のみが入ったコーヒーが提供されることが多いので要注意です。首都圏で人気のブルーボトルコーヒーの創業者がショップ展開をするにあたり、日本の地域密着の喫茶店を参考にしたというのも有名な話です。

豆はどこの国のものが
美味しいのか?

コーヒー豆の銘柄にもなっている生産地。世界全体のコーヒー生産量の約3割を占めているのはブラジルですが、コロンビア、グアテマラも国名がそのまま銘柄になっています。
よく耳にする「モカ」は中東イエメンの港の名称で、キリマンジャロは東アフリカにある山の名前です。近年多くのカフェオーナーに人気があるのはエチオピア産のコーヒー豆だとか。香りが華やかで甘さもあり、価格以上の品質を感じる豆が多いそうです。豆を選ぶ時の参考にしてみてください。

煎り方は好み!
焙煎度の違い

コーヒー豆は焙煎や挽き方によっても風味に差が出てきます。深煎りや浅煎りかによって酸味とコクのバランスが変わってくるのです。一般的には浅煎りだと苦みが薄れ、深煎りだと酸味が薄れます。「ロースト」ともいわれる焙煎度は全部で8段階ありますが、豆ごとの特徴によって最適な焙煎法があり、さらにはその後の引き方や淹れ方にも大きく影響してきます。豆の特徴、焙煎、挽き方など多くの条件が作用し合って自分好みの一杯との出会いにつながるわけです。

ちなみに、コーヒーの場合は新鮮だからといって必ず美味しいとは限りません。焙煎したては香りがあまり出ないとされており、焙煎後3~5日後くらいで初めてお客様に提供するというコーヒー専門店が多いそうです。

美味しい淹れ方の極意

前述したとおり、コーヒーの淹れ方は豆の特徴や焙煎、挽き方によっても大きく変わります。気候によって日々味わいも変わるという奥深さ。そんな中最も大切な3要素は「豆の量」「お湯の量と温度」「淹れる際の時間」です。豆10gに対して15~16倍のお湯の量が適量とされており、温度は85~91℃。温度が低いと酸味が出やすく、温度が高いと苦みが出やすいので、浅煎りの場合は温度高め、深煎りの場合は温度低めがベスト。お話をうかがったCOFFEE HAUSさんでは4タイプの淹れ方から選んでそれぞれの特徴を楽しむことができます。

  • サイフォン:イギリス発祥の抽出器具。軽めのテイスト
  • アメリカンプレス:浸したコーヒーに水圧をかけた濃いめのテイスト
  • エアロプレス:空気の力で抽出した滑らかなテイスト
  • ハンドドリップ:2段階の湯温で抽出したクリアなテイスト

コーヒーの苦手は
克服できる?

コーヒーが苦手な理由でよく聞くのは「苦みが苦手」「酸味が苦手」の2つ。コーヒー豆の最大の特徴でもあるこの2つのクセは、正しい焙煎法、挽き方、淹れ方で最高の味わいに変わります。料理やスイーツづくりのようにマニュアルに添って、丁寧に豆を扱い、正しく淹れられれば自宅でも極上のカフェタイムを過ごすことが出来ます。自家焙煎を行っているコーヒー専門店にはコーヒーバリスタが常駐していることが多いので積極的にノウハウを聞いてみましょう。
また、最近はスペシャリティ豆で作られたカフェインレスコーヒーも多く出回り、ひと頃の「カフェインレスは美味しくない」という定説はすっかり覆されています。夜でも睡眠前でも安心して香り豊かなコーヒーが楽しめるのはコーヒー通にとっても嬉しい話。身体への影響が少ないので苦手な人はカフェインレスからトライしてみるのもいいかもしれません。

Enjoying Coffee
at Home

おうちで本格的な味に近づけるには?

  • Point01

    プロに頼る!

    まずは、プロに自分好みの豆を選んでもらうのが一番。バリスタのいる店で「こんな場面で飲みたい!」
    「酸味が強いのは苦手」「濃いめが好き」など好みを伝えて、豆・挽き方などをセレクトしてもらうのが間違いありません。

  • Point02

    保存に気を付ける

    豆を挽いてもらい自宅で保存するときは密閉して冷暗所で保存しましょう。コーヒーは腐らないので賞味期限はありませんが、美味しく飲む目安は2週間以内です。2週間以上コーヒーを保管する場合は冷凍保存で。小分けのドリップコーヒーを購入する場合はフィルムタイプのパックだと長く保管できます。

  • Point03

    +αも大切!

    味はもちろん、視覚的なものや気分的なものもコーヒーの味を左右します。お気に入りのマグカップやケトルを揃え、スイーツなどを準備し、音楽や本など、自分の好きなものと一緒に楽しむのが理想です。単に味わいを楽しむことにとどまらず五感で「コーヒータイム」を楽しめます。

家族や友人との楽しい会話のおともに、
または仕事の合間のリフレッシュに、
一日の始まりの朝に気分を高めるために、
暮らしのさまざまなシーンで効果をもたらしてくれるコーヒーの豆知識。
ぜひ皆さまのおうちカフェで活かしてみてください。

Coffee Time

取材協力:COFFEE HAUS