木霊と戯れし太鼓と笛
2026.03.02
こんにちは、広報室のロジャーです。
前回ご紹介した「適当チャーハン」、お作りになった方はいらっしゃるでしょうか。
うっかり醤油を二周りいってしまって「しょっぱ〜い!」となった方がいたら、きっと気が合います。
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おかげさまで、自宅の建築もいよいよ終盤戦。
引き渡しの日程も決まり、「ついにマイホームに引っ越すんだ」という実感がじわじわ湧いてきました。
家の中は当然のように、絶賛「段ボール森林化」の真っ只中。
リビングや寝室のあちこちに積まれた箱をよけながら歩いていると、ふとこんなことを思いました。
今までも意外と、本物の木と戯れてきたかも。
...という、かなりどうでもいい気づきです。
思い返してみると、その代表格が〈和太鼓〉と〈リコーダー〉でした。
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20〜30代にかけては和太鼓にドはまりしており、かれこれ20年近くの青春を太鼓に捧げていました。
和太鼓の胴体は、ケヤキやヒノキなどの木をくり抜いたものや、スギ材の板を合わせて作る桶胴太鼓など、いろいろな姿で存在しています。
一度できあがった太鼓は、革を張り替えながら何十年、場合によっては何百年と使い続けられます。
太鼓の胴の内側には、作った職人さんや修復した職人さんの名前と年号が、墨で書かれています。
太鼓の中を覗き込むたびに、この楽器は自分よりずっと前から生きていて、これからも自分よりずっと長くこの世にいるのだろうと、少しだけ不思議な気分になります。
▲339年前、貞享(じょうきょう)四年(1687年)に生まれた太鼓。製作と修復の記録が墨書きされていました。木の中に、何百年分もの時間が刻まれています。
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もうひとつの木との付き合いが、リコーダーです。
30代あたりから、和太鼓とはまったく別の表現を求めて、木管リコーダーの世界に迷い込みました。
学校でおなじみなのはプラスチック製ですが、あれとはまるで別世界です。
「プラ管」と呼ばれるプラスチック製は、とても扱いやすくて大変優秀な反面、音色が良くも悪くも「標準仕様」になりがちです。
一方、木管リコーダーはというと──
・ソロ演奏では、黒檀やパリサンダーのような、音の輪郭がはっきりした硬い木
・アンサンブルでは、楓や梨のような、音がよく溶け合う柔らかい木
といった具合に、音色に合わせて木を選ぶ楽しみがあります。
その間には、無数の木と無数の音色があって、終わりのない沼です。
▲ソロ演奏ができるほどの度胸も技量もなく、わが家では「柔らかいリコーダー」を中心に揃えています。
こうして振り返ってみると、木の家づくりとよく似ています。
固くてキリッとした木、
やわらかくて空間になじむ木、
年月とともに色や表情が変わっていく木。
どれかひとつが「正解」なのではなく、
どんな音・どんな暮らしを望むかで、選び方が変わるという点で、とてもよく似ている世界です。
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和太鼓で木の胴を奏で、リコーダーで木の息づかいを聴き、
そして今度はいよいよ、木の家そのものに住もうとしています。
引っ越しが落ち着いたら、まだしばらく使わない部屋のひとつを、楽器部屋にしてしまおうと企んでいます。
さすがに和太鼓を全力で鳴らすと近所迷惑なので、
無垢の床にそっと立って、サクラでできたテナーリコーダーでも吹いてみる。
そんな時間がつくれたらいいなあ、と思っています。
木でできた太鼓、木でできた笛、そして木でできた家。
ずいぶん遠回りしてきたようでいて、実はずっと「木と暮らす練習」をしていたのかもしれません。
実際に暮らしはじめてからの「木の家×楽器」の話は、また改めて。
続きは、引っ越し後のレポート編でお届けできればと思います。
ではまた!
▲いつか正しい向きで、一緒に音を奏でてみたいものです
